サンデル・ファン・デル・レーウ(Sander van der Leeuw)
考古学者であり歴史学者である著者は、複雑適応システム(Complex Adaptive Systems)アプローチを社会環境問題、テクノロジー、イノベーションに応用した先駆者である。
1991年から2000年まで、南ヨーロッパにおける持続可能性の課題に対してCASの視点を用いたARCHAEOMEDES研究プログラム(世界初)をコーディネートした。
アムステルダム、ライデン、ケンブリッジ、パリ(ソルボンヌ大学)で教鞭をとり、アリゾナ州立大学人類進化・社会変動学部の創設ディレクター、同大学サステイナビリティ学部の学部長を務めた。AAASフェロー、RIHN名誉フェロー(日本、京都)、サンタフェ研究所エクスターナル・ファカルティ・フェロー、オランダ王立芸術科学アカデミー通信会員。また、フランス国立大学でも教鞭を執る。2012年、国連環境計画(UNEP)より「科学とイノベーションにおける地球のチャンピオン」の称号を授与され、2023年には中国・上海考古学フォーラムより生涯研究賞を授与された。
王 智弘(おう ともひろ) →1章、2章、3章、4章、10章、13章、21章
関西外国語大学英語国際学部 准教授
専門は環境社会学、資源論。
北村 健二(きたむら けんじ) →18章、19章、20章
追手門学院大学国際学部 准教授
主な研究テーマは、自然環境保全と地域づくりの両立を可能にする仕組み。
持続可能な開発目標(SDGs)の学習や地域施策に関わりながら、自治体、組織、個人などあらゆる主体がSDGsを自分ごとにする過程を見てきた。社会にSDGsが浸透したいまこそ、改めて持続可能性の本質を考える好機かもしれない。特に自分が翻訳を担当した第20章を読んで、そう感じている。
熊澤 輝一(くまざわ てるかず) →5章、6章、9章、11章
大阪経済大学 国際共創学部 教授、博士(工学)
専門は、環境デザイン、ローカルな市民活動、知識情報学(オントロジー、アーカイブ)。
人間と自然との関係にかかわる知識を収集・蓄積、編集し、分野を横断して共有するための研究を進めてきた。サンデルさんと出会った総合地球環境学研究所では、情報システムの管理業務や地球環境学ビジュアルキーワードマップ(https://gesvkm.chikyu.ac.jp)の開発を担う。現在は、沖縄本島を主なフィールドに、湧き水のアーカイブづくりを進める市民の活動を支援しながら、水場から地域を知るための情報ツール開発に取り組んでいる。
嶋田 奈穂子(しまだ なほこ) →8章、12章、15章、16章、17章、22章
総合地球環境学研究所 外来研究員、滋賀大学非常勤講師
専門は、人間文化学、イマジナリー生態学。
著者のサンデルさんとは日本各地、フランス各地を旅し、その中で彼から多くのことを学んだ。自身の専門分野とは異なる分野の研究者、年代の異なる他者、地域の方々とコミュニケーションをとるとき、彼は立場の上下や違いを全く感じさせず、驕らず、相手の話に注意深く耳を傾け、大きな身体をゆらしてクスっと微笑む。そうして超学際を真に進める姿は、私が目指したい人間像である。
三木 弘史(みき ひろし) →7章、14章
久留米工業高等専門学校 一般科目(理科系)准教授
主な専門は統計物理学。文理融合というとき、理系学問の背景をもつ人が文系のことも取り入れながらなしたものが多数派であるように感じる。日常的な感覚との文理の距離感からすればそういうものなのかもしれないが、本書は文系の背景をもつ著者が理系の知見も織り込みながらつづられたものであり、新鮮であった。