本作の主人公・坪井宣政には、「鎌倉殿の13人」(2022)で源頼朝役を好演、いま多くの人々に愛される俳優・大泉洋。
実際に愛する一人娘を持つ大泉は、大病を患う娘の父親という辛い難役を全身全霊で演じ切っている。
そんな宣政を支え「次はどうする?」と頼もしくお尻を叩く、妻・陽子には『明日の食卓』(2021)で母親役を熱演した菅野美穂。
大泉の明るさと菅野の献身さが、何があっても前に突き進んでいく坪井家の強さを表していく。
心臓疾患を抱える次女・佳美役に『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)で日本アカデミー賞新人俳優賞に選ばれた福本莉子、
三女・寿美役に若手実力派・新井美羽、そして3姉妹を支える長女役には「カムカムエブリバディ」(2021)で
3世代最後のヒロインを演じ切った川栄李奈。どこにでもいる小さな家族の大きな挑戦が、観る者の心を震わせる。
監督には、『君の膵臓をたべたい』から『君は月夜に光り輝く』『そして、生きる』まで、死生観にまつわる感涙作を生み出してきた月川翔監督。
恋愛映画の名手でもある月川翔が次に挑むのは親子、そして家族の物語。自身も2児の親となり、
今だからこそ研ぎ澄まされた父親としての感性を発揮し、本人熱望の新境地に挑んでいる。
そして、『しんがり 山一證券 最後の12人』で第36回講談社ノンフィクション賞を受賞、『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』など
骨太な作品を書くノンフィクション作家・清武英利の20年以上に渡りご家族と向き合ってきた膨大かつ緻密な取材ソースを原作に、
『永遠の0』、『糸』、『ラーゲリより愛を込めて』など数々の名作を手がけてきた脚本家=林民夫が、1本の物語として脚本を紡ぐ。
“死を待つだけの10年”か、“不可能に挑む10年”か―。
医療の世界とは全く無縁だった平凡な町工場の男が、後に医療界を揺るがすことになる
あまりにも大きな奇跡を生み出した理由は、たったひとつ。家族への愛だった。
絶対にあきらめない家族が起こした奇跡の実話に基づくこの物語は、
命を救って終わる感涙のハッピーエンドでもなければ、命を失って終わる衝撃のバッドエンドでもない。
今もなおエンディングを迎えることなく、世界のどこかの誰かの命を、救い続けている。
「20歳になるまで生きられないだと…」
日本中どこの医療機関へ行っても
変わることのない現実。
そんな絶望の最中、
小さな町工場を経営する父・宣政は
「じゃあ俺が作ってやる」と立ち上がる。
医療の知識も経験も何もない宣政の
破天荒で切実な思いつき。
娘の心臓に残された時間はたった10年。
何もしなければ、死を待つだけの10年。
坪井家は佳美の未来を変えるために
立ち上がる。
絶対にあきらめない家族の
途方もなく大きな挑戦が始まる―。