機械安全の考え方

ISOで定義されている機械安全とは、「受入れ不可能なリスクがない」ことです。そのため、「機械安全に対する考え方」が、従来日本で考えられてきた「 危険検出型システム 」から、欧米型の「 安全確認型システム 」へと変わってきています。安全に対しての欧米と日本の考え方の違いを下図に示します。

作業現場における安全対策は、従来の防護具と作業者への教育や訓練に依存する受身の安全から、ヒューマンエラーは必ず起こると仮定し、ヒューマンエラーが事故につながらないように機械の安全設計を行い、万一の場合にも事故を越さない、事故が起きたとしても事故から発生するリスクを最小にする製品作りを目指す考え方へと変わってきています。

表 安全に対する考え方の違い(欧米-日本)

項目欧米の考え方日本の考え方 災害対応災害防止の努力を行っても技術レベルに応じて必ず起こる災害防止努力により二度と起こらないようにできる 災害原因・対策災害防止は、技術的問題であり 人の対策よりも技術対策を優先 災害の主原因は人であり 技術対策よりも人の対策優先 安全対策人は必ず間違いを犯すものであるから、 技術力の向上 がなければ安全は確保できない管理体制を作り、 人の教育・訓練を実施し、規制を強化 すれば安全を確保できる 災害の発生設備の安全化、および事故発生時に重大災害とならない 技術対策 安全衛生法では、 人および設備の安全化 を重視し、災害が発生するたびに 規制を強化 する 安全コスト安全に対する コスト許容 安全に対しての コストを許容しにくい 安全設計 危険源を抽出 し、その リスクを評価 し、その 災害を低減 する努力を行う 前例主義 により今までに起こった危険に対して対応を行う 安全対応技術 理論的に安全であることを立証する技術 見つけた(今までにあった)危険をなくす技術 災害の重大性災害の 重大度 を重視する災害の 発生件数 を重視する

安全規格の仕組み

今まで日本では、使用者が使い方を守れば被害は起きないという「被害ゼロ」の考え方が主流でした。しかし最近は、作る人が責任を持って安全設計に取組み、どうしたら危険の発生を最小限にするかという「危険最小」の考え方に変わってきています。製品を開発するときには、適用される法律、および安全規格を遵守することが必要です。その規格の仕組みを下図に示します。


図 安全規格の仕組み:国際規格(ISO/IEC)と日本規格(JIS)

各国の法令と工業規格の体系

各国の安全に関する法令と工業規格の体系を下図に示します。ウィーン協定によりISO規格とEN規格、ドレスデン協定によりIEC規格とEN規格とは同一内容となり、 WTOのTBT(技術の障害に関する)協定によりISO・IEC規格と各国の規格は同一内容となっている。したがって、EN規格とISO規格と各国の規格は同一内容となる。


図 安全の法令と工業規格の体系

JIS機械安全

1. 基本(A)安全規格 (基本的な安全の概念および原則)

  • JIS B 9700-1,2:機械類の安全性- 設計のための基本概念 (第1部:基本用語、方法論、第2部:技術原則)、ISO 12100-1,2
  • JIS B 9702:機械類の安全性-リスクアセスメントの原則、ISO 14121,EN 1050
  • 2.グループ(B)安全規格

  • JIS B 9705-1:機械類の安全性-制御システムの安全関連部(第1部:設計のための一般原則)、ISO 13849-1,EN 954-1
  • JIS B 9707:機械類の安全性-危険区域に 上肢 が到達することを防止する 安全距離 、ISO 13852,EN 294
  • JIS B 9708:機械類の安全性-危険区域に 下肢 が到達することを防止する 安全距離 、ISO 13853,EN 811
  • JIS B 9709-1:機械類の安全性-機械類からの 放出危険物質による健康リスク低減 (第1部:原則)、ISO 14123-1,EN 626-1
  • JIS B 9709-2:機械類の安全性-機械類からの 放出危険物質による健康リスク低減 (第2部:検証手順)、ISO 14123-2,EN 626-2
  • JIS B 9711:機械類の安全性- 人体部位の押しつぶし回避するための最小隙間 、ISO 13854,EN 349
  • JIS B 9706-1:機械類の安全性- 表示、マーキングおよび作動 (第1部:視覚、聴覚および触角の要求事項)、IEC 61310-1,EN 61310-1
  • JIS B 9706-2:機械類の安全性- 表示、マーキング゙および作動 (第2部:マーキングの要求事項)、同上-2,同上-2
  • JIS B 9706-3:機械類の安全性- 表示、マーキングおよび作動 (第1部:アクチュエータの配置および操作の要求事項)、同上-3,同上-3
  • JIS B 9713-1:機械類の安全性- 機械類への常設接近手段 (第1部:昇降設備の選択)、ISO 14122-1
  • JIS B 9713-2:機械類の安全性- 機械類への常設接近手段 (第2部:作業用プラットフォームおよび通路)、ISO 14122-2
  • JIS B 9713-3:機械類の安全性- 機械類への常設接近手段 (第3部:階段、段はしごおよび防護柵)、ISO 14122-3
  • JIS B 9713-4:機械類の安全性- 機械類への常設接近手段 (第4部:固定はしご)、ISO 14122-4
  • 注)「JISハンドブック72機械安全」参考

    グループ安全規格(B企画)の国際規格とJIS規格の例を右表に示します。この表に示すように国際規格のJIS化は全体として遅れ気味であります。

    表 グループ安全規格(B規格)の国際規格とJIS規格の例

    分野EN規格ISO/IEC規格JIS規格 非常停止装置EN ISO 13849-1ISO 13849-1JIS B 97051 EN ISO 13849-2ISO 13849-2- EN 418ISO 13850JIS B 9703 EN 574ISO 13851- 感圧保護装置EN 1760-1ISO 13856-1- EN 1760-2ISO 13856-1JIS B 9715 安全距離EN 294ISO 13852JIS B 9707 EN 811ISO 13853JIS B 9708 EN 349ISO 13854JIS B 9715 EN 999ISO 13855JIS B 9711 保護具、ガードEN 1088ISO 14119JIS B 9710 EN 953ISO 14120JIS B 9716 EN ISO 14122-1ISO 14122-1JIS B 9713-1 EN ISO 14122-2ISO 14122-2JIS B 9713-2 EN ISO 14122-3ISO 14122-3JIS B 9713-3 EN ISO 14122-4ISO 14122-4JIS B 9713-4 指示、マーキングEN 61310-1IEC 61310-1JIS B 9706-1 EN 61310-2IEC 61310-2JIS B 9706-2 EN 61310-3IEC 61310-3JIS B 9706-3 EN 61496-1IEC 61496-1JIS B 9704-1 -IEC 61496-2JIS B 9704-2 EN 61496-3IEC 61496-3JIS B 9704-3 振動、衝撃EN 1320-- EN 1033-- EN 1229-- EN 13490--