強迫症の症状を強迫症状といいます。強迫症状は、「強迫観念」と「強迫行為」があり、このふたつが存在して初めて強迫症と診断されます。
強迫観念とは、きわめて強い不安感や恐怖感のことです。対象物がない不安や、「手が汚れているのではないかと気になって仕方がない」「家の鍵を閉めたか気になって仕方がない」など、ある特定の対象物に対する不安や恐怖です。
強迫行為とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為です。たとえば「手を一日に何十回・何百回も洗う」「会社に行く途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」などです。
普通の人でも不安感はありますが、この疾患では強迫観念・強迫行為によって日常生活に支障が出てしまいます。「施錠の確認で何度も家に帰っていたら会社に行けなかった」などです。
さらにこの疾患の特徴は、自分の行動が不合理だという自覚が患者自身にあることです。そのため「自分はおかしい」「周囲から変だと思われてしまう」という恐怖から、行動範囲が非常にせまくなってしまうことがあります。
治療には、
抗不安薬
や
抗うつ薬
を用いた薬物療法や
認知行動療法
などの精神療法が有効とされています。
(最終更新日:2021年3月12日)