ものを空間に存在させることとはどういうことか。従来の彫刻作品を制作するための木や粘土などの素材に触れることからはじめ、彫刻における量や流れ、空間とのかかわりを考えます。デッサンの授業で培う、ものの見方や捉え方が基礎となっています。塑造、木彫、テラコッタやオブジェ(金属)といった技法を段階的、横断的に学ぶことができます。また総合大学としては珍しい大規模な芸術工房を有しており、自由な制作が可能です。3年次ではゼミを選択して、自身の制作におけるテーマや素材をどのように決定して制作をすすめるのかを、演習とディスカッションを並行させながら考えます。特に立体制作をする上で、共同スペースであるアトリエの環境づくりは、みんなで確立していくとても大切な要素です。4年次にはこれまで培った構成力や造形力をもとに、卒業研究を制作します。

技法や材料の知識があると、絵画や彫刻の制作がスムーズに進むことがあります。美術学課程では、表現に必要な技術や材料を知るための科目がたくさん用意されています。絵画の科目では、昔の巨匠たちが実際に行っていた技術や、使っていた材料などを通して、真の絵画の知識を深めていきます。また、版画など間接的な表現技法では、製版と刷りという工程を、順を追って学び、新たな表現の可能性を探っていきます。彫刻では、立体的、空間的なものの見方が求められます。粘土を使った塑造や、木を削って形にしていく木彫など、それぞれの素材により、道具の扱い方から表現までさまざまな授業が行われます。制作者はもちろん、美術文化財の保存や修復などの分野を目指す人にとっても、役に立つ授業を展開しています。