唾液を使ったPCR検査について

  • 新型コロナ感染症対策として、PCR検査を拡充することは、早期診断、感染拡大防止において重要な課題です。はじめは国立感染症研究所の検体採取マニュアルには、PCRの検体は喀痰や、鼻咽頭ぬぐい液(スワブ)と指定されていました。
  • スワブ検査の実施は、医師、看護師、臨床検査技師等に限られています。感染リスクもあるため、その人員確保は難しく、検査に要するマスクやガウンなどの防護具も不足していました。人員・防護具の不足している状況でPCR検査の拡充を図るのは極めて困難であり、より安全、簡便な検体採取法の確立は急務の課題でした。
  • 我々は唾液による検体採取が鼻咽頭ぬぐい液と同等の検査精度をもつ可能性を示し※1 、厚生労働省も唾液によるPCR検査を認めました※2。

  • 唾液採取カップ
    1 Iwasaki, S., et al. (2020). “Comparison of SARS-CoV-2 detection in nasopharyngeal swab and saliva.” J Infect.
    https://www.journalofinfection.com/article/S0163-4453(20)30349-2/fulltext


    2 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11636.html
  • ヒトの細胞やウイルスなどの生物は、DNAやRNAという物質(遺伝子)で構成されており、4種類の塩基と呼ばれる成分が規則正しく並んでいます。
  • 塩基の並び方は生物毎に異なるため、塩基の並び方(塩基配列)を調べることによって、生物の種類や、病気などの異常があるかを調べることができます。
  • PCR法は、その生物固有の遺伝子を増幅させることによって、目的とする生物が「 いるかいないか 」などを調べることができます。
  • 温度の変化でDNAを2倍、4倍、8倍…と指数関数的に増やしていき、最初は機械では検出できないほど微量であったものを検出できる量にまで増幅させることができます。
  • つまり…
    温度の変化で遺伝子を増やして、 “超” 微量な 病原体 新型コロナウイルス )の痕跡を探す方法です。