医療専門職を目指す学生に内科診療の基本とその病態についてわかりやすく解説します!

医師とともにチーム医療を支える理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師,臨床検査技師,診療放射線技師,臨床工学技士,薬剤師,管理栄養士,社会福祉士などすべての医療専門職を目指す学生を対象に,内科診療の基本や内科疾患の病態についてわかりやすく解説した教科書です.
1章では内科診療の基本を学び,2章以降では,臓器別の分野ごとに,解剖生理・症候・検査・治療の概要とその分野の主要疾患の病態をわかりやすく学べます.各種疾患の解説では,冒頭に「必修ポイント」として病態図とともに要点を簡潔にまとめ,復習しやすいよう工夫しています.広範な内科学の知識を学ぶため,実際の医療現場で必要な内容にポイントを絞り,オールカラーで図表や写真を数多く使ったコンパクトな一冊になっています.改訂3版では,図表や本文の見直し,急速に進歩する治療に関しても最新情報を取り上げ,一層の記載の充実を図りました.

正誤表・追加情報

本書は「さまざまな医療福祉分野の専門職を目指す学生を対象に,内科診療の基本や内科疾患の病態について,実際の医療福祉現場で必要な内容にポイントを絞って解説する」をコンセプトとして企画編集し,2016年に初版を出版しました.お陰様でコンパクトにまとまった内科学の成書として好評を得て,多くの医療福祉系教育機関で講義の教科書として使用していただいています.
医療福祉分野の知識・技術は日々進歩し,社会環境も常に変化しますので,定期的に内容を見直して最新の医療福祉の現場で対応できるようにこまめな改訂を心がけています.今回の改訂3版では主に第2章以降の各論の部分を,南山堂より同時出版される『看護のための臨床病態学(改訂5版)』を再編集して現状に即した内容にアップデートしました.ただし,講義の教科書として使用される場合の一貫性を考えて,全体の骨子は保持しておりますので,継続して使用していただけますと幸いです.
さて,前回の改訂2版を出版してから3年の間,新型コロナウイルスの感染拡大により社会様式が大きく変化しました.学生の皆さんも,遠隔授業が始まり,臨地実習も制限されるなど過去にないさまざまな経験をされたと思います.医療福祉施設におけるスタッフの献身的な働きを知り,医療福祉の仕事の責任と尊さを再認識したに違いありません.
医療福祉の現場では混乱を極めるなか,感染予防や感染者の対応において,多職種間の連携の大切さが改めて注目されました.すべての専門職が感染症に対する明確な知識や技術を持ち,職種間で感染者の情報を共有することが,あらゆる職種において業務を遂行するために不可欠となりました,このように,多職種が連携してチーム医療福祉を実施するためには,いずれにおいても「内科学」の知識が情報共有の共通言語となり,専門分野の知識技術を習得するうえで基盤となります.学生の皆さんが本書を用いて「内科学」の知識を身に付け,卒業後に厳しくもやりがいのある医療福祉の現場でチームの一員となって活躍されることを期待しています.
最後に,初版の企画出版から今日まで御支援してくださいました南山堂編集部の石井裕之氏に深謝いたします.
2023年2月
第1章 内科診療の実際
1.診療の基本
A 全人的な医療
B チーム医療
C 倫理的配慮と個人情報保護
D 医療安全管理
E EBM(根拠に基づいた医療)
F 診療録
2.診断と治療
A 医療面接
B 身体診察
C 検 査
D 治 療
3.主な症候
第2章 呼吸器疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 呼吸器感染症
A 肺 炎
B 肺結核
C 肺真菌症
Ⅱ アレルギー・免疫疾患
A 気管支喘息
B サルコイドーシス
C その他のアレルギー・免疫疾患
Ⅲ 慢性閉塞性肺疾患
Ⅳ 間質性肺疾患
A 特発性間質性肺炎
B 塵肺症
Ⅴ 気道系疾患
A 気管支拡張症
B 無気肺
Ⅵ 肺腫瘍
A 原発性肺癌
Ⅶ 肺循環疾患
A 肺血栓塞栓症/肺梗塞
B 肺水腫
Ⅷ 換気異常
A 過換気症候群
B 睡眠時無呼吸症候群
Ⅸ 呼吸不全
Ⅹ 胸膜疾患
A 気 胸
B 胸膜中皮腫
Ⅺ 縦隔疾患
A 縦隔腫瘍
第3章 循環器疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 心不全
Ⅱ 不整脈
Ⅲ 虚血性心疾患
A 狭心症
B 急性心筋梗塞
Ⅳ 心筋疾患
A 拡張型心筋症
B 肥大型心筋症
C 心筋炎
D 心膜炎
E 心タンポナーデ
F 感染性心内膜炎
Ⅴ 心臓弁膜症
A 僧帽弁膜症
B 大動脈弁膜症
Ⅵ 先天性心疾患
A 心室中隔欠損症
B 心房中隔欠損症
C 動脈管開存症
D ファロー四徴症
E 完全大血管転位症
Ⅶ 高血圧症
A 本態性高血圧
B 二次性高血圧
Ⅷ 動脈硬化
Ⅸ 動脈疾患
A 大動脈瘤
B 大動脈解離(解離性大動脈瘤)
C 高安動脈炎
D 末梢動脈疾患
Ⅹ 静脈疾患
A 下肢静脈瘤
B 血栓性静脈炎
第4章 消化管疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 食道の疾患
A 胃食道逆流症
B 食道裂孔ヘルニア
C 食道アカラシア
D 食道静脈瘤
E マロリー・ワイス症候群
F 食道癌
Ⅱ 胃・十二指腸の疾患
A 急性胃炎/急性胃粘膜病変
B 胃アニサキス症
C 慢性胃炎
D 胃ポリープ
E 消化性潰瘍(胃潰瘍/十二指腸潰瘍)
F 胃 癌
G 胃切除後症候群
Ⅲ 大腸の疾患
A 薬剤性大腸炎
B 潰瘍性大腸炎
C クローン病
D 虚血性大腸炎
E 大腸ポリープ
F 消化管ポリポーシス
G 大腸癌
H 過敏性腸症候群
I 虫垂炎
J 鼠径ヘルニア
K 腸閉塞(イレウス)
Ⅳ 肛門の疾患
A 痔 核
B 肛門周囲膿瘍/痔瘻
第5章 肝・胆・膵疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 肝臓疾患
A 急性ウイルス性肝炎
B 慢性ウイルス性肝炎
C 肝硬変
D 肝細胞癌
E アルコール性肝障害
F 非アルコール性脂肪肝炎
G 薬剤性肝障害
H 門脈圧亢進症
Ⅱ 胆道疾患
A 胆石症
B 胆道感染症
C 胆嚢ポリープ
D 胆道腫瘍
Ⅲ 膵疾患
A 急性膵炎
B 慢性膵炎
C 膵腫瘍
第6章 代謝性疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
A 糖尿病
B 低血糖症
C 肥満症
D メタボリックシンドローム
E 脂質異常症(高脂血症)
F 痛風/高尿酸血症
G ビタミン欠乏症・過剰症
H 骨粗鬆症
第7章 内分泌疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 視床下部・下垂体疾患
A 視床下部腫瘍
B 下垂体腫瘍
C 下垂体〔前葉〕機能低下症
D バソプレシン分泌過剰症(ADH不適合分泌症候群)
E バソプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)
Ⅱ 甲状腺疾患
A 甲状腺機能亢進症
B 甲状腺機能低下症/慢性甲状腺炎
C 甲状腺腫瘍
Ⅲ 副甲状腺疾患
A 副甲状腺機能亢進症
B 副甲状腺機能低下症
Ⅳ 副腎疾患
A クッシング症候群
B 原発性アルドステロン症
C 先天性副腎皮質過形成症
D 褐色細胞腫
E アジソン病
第8章 腎・泌尿器疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 慢性腎臓病
Ⅱ 糸球体腎炎(原発性腎疾患)
A 急性糸球体腎炎(急性腎炎)
B 急速進行性糸球体腎炎
C 慢性糸球体腎炎(潜在型/進行型)
D ネフローゼ症候群
Ⅲ 続発性(二次性)腎疾患
A 糖尿病性腎症
B 痛風腎
C 腎硬化症
Ⅳ 腎・泌尿器感染症
A 腎盂炎(腎盂腎炎)
Ⅴ 泌尿器科疾患
A 尿路結石症
B 前立腺肥大症
C 前立腺癌
D 膀胱癌
E 腎細胞癌
F 精巣腫瘍
Ⅵ 腎不全
A 急性腎障害
B 慢性腎不全
第9章 脳・神経疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 脳血管障害(脳卒中)
A 脳血栓症(アテローム血栓性脳梗塞)
B 脳塞栓症
C 脳出血(脳内出血)
D クモ膜下出血
E 慢性硬膜下血腫
F 〔脳〕血管性認知症
Ⅱ 神経変性疾患
A パーキンソン病
B 脊髄小脳変性症/脊髄小脳失調症
C アルツハイマー病
D 筋萎縮性側索硬化症
Ⅲ 中枢神経の脱髄性疾患
A 多発性硬化症
Ⅳ 末梢神経疾患
A ギラン・バレー症候群
Ⅴ 神経・筋接合部疾患
A 重症筋無力症
Ⅵ 筋疾患
A デュシェンヌ型筋ジストロフィー
Ⅶ 神経系の感染症
A 髄膜炎
B 単純ヘルペス脳炎
C プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病)
Ⅷ 機能性疾患
A てんかん
B 片頭痛
Ⅸ 神経系の腫瘍
A 脳腫瘍
B 髄膜腫
第10章 血液疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 赤血球の疾患
A 鉄欠乏性貧血
B 巨赤芽球性貧血
C 再生不良性貧血
D 溶血性貧血
Ⅱ 白血球の疾患
A 急性白血病
B 骨髄異形成症候群
C 慢性骨髄性白血病
D 悪性リンパ腫
E 多発性骨髄腫
Ⅲ 出血性疾患
A 特発性血小板減少性紫斑病
B 血栓性血小板減少性紫斑病
C 血友病
D 播種性血管内凝固症候群
第11章 膠原病・アレルギー疾患
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 膠原病
A 関節リウマチ
B 全身性エリテマトーデス
C 多発性筋炎/皮膚筋炎
D 全身性強皮症
E 混合性結合組織病
F 血管炎症候群
G シェーグレン症候群
H リウマチ性多発筋痛症
I 成人スチル病
J 抗リン脂質抗体症候群
Ⅱ 膠原病と同様の全身性炎症性疾患
A ベーチェット病
Ⅲ 膠原病に関連した疾患
A アミロイドーシス
Ⅳ アレルギー性疾患
A 薬物アレルギー
B アナフィラキシー
C 花粉症
第12章 感染症
1.解剖と生理
2.症 候
3.検査と治療
4.主な疾患
Ⅰ 細菌性疾患
A 食中毒
B 腸管出血性大腸菌感染症
Ⅱ 真菌性疾患
A カンジダ症
Ⅲ ウイルス性疾患
A 麻 疹
B 風 疹
C 流行性耳下腺炎(ムンプス)
D 水痘/帯状疱疹
E ノロウイルス感染症
F インフルエンザ
G 新型コロナウイルス感染症
H 後天性免疫不全症候群
付録:主な検査の代表的な基準値
本書で用いた略語一覧